家庭菜園をこれから始める初心者の方〜中級者の方へ、ヤーコンの育て方の手順を、写真とイラストでわかりやすく解説します。
ヤーコン栽培の特徴、種まきから収穫までの栽培時期と手順、水やり、品種、病害虫への対策、美味しく育てるポイントなどをご説明していきます。
ヤーコンとは
ヤーコンとは英名で「Yacon(果実)」と呼ばれ、さつまいもにも似た多年生の根菜類です。
複数種類の品種がありますが、地植え・プランターでも、病害虫被害も少なく家庭菜園初心者でも比較的栽培を簡単に行うことができます。
大量のフラクトオリゴ糖、ポリフェノールを含み、シャキシャキとした食感で薄く切ってサラダや、煮物、天ぷら、漬物などでも美味しく食べることができます。
また、ヤーコンの葉は煎じて健康食品のヤーコン茶も利用されています。
学名 | Smallanthus sonchifolius |
和名/別名 | ヤーコン |
英名 | Yacón |
原産地 | 南米、アンデス |
科・属名 | キク科スマランサス属 |
主な栄養価 | フラクトオリゴ糖/ポリフェノール/クロロゲン酸/ミネラル/カリウム/カルシウム/マグネシウムなど |
栽培の特徴と適した環境
ヤーコンは植え付けから収穫まで半年程度と期間が長くかかりますが、畑はもちろん庭先のプランターでも育てることが可能です。
比較的冷涼な気候と日光を好みますが、0度以下になる寒すぎる時期や、真夏の暑すぎる気候には弱い為、栽培する地域で育てる時期が少し異なります。
草丈が高く成長しますので、きちんと株間をとって風通しや日当たりが良い場所を選んで育てましょう。
生育適温 | 15℃〜20℃前後 |
植え付け〜収穫までの期間 | 半年程度 |
連作障害 | 有り(2〜3年程度) |
栽培で用意するもの
・畑などで直まきの場合
1.ヤーコンの苗もしくは種芋
2.苦土石灰(100円ショップでも購入可能)
3.堆肥
4.化成肥料
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・プランターの場合
1.ヤーコンの苗もしくは種芋
2.プランター
3.野菜用培養土
4.液肥
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・家庭菜園で使用する道具ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園で使用する道具と使い方
栽培時期カレンダー
ヤーコンの種まきから収穫までの栽培時期・栽培スケジュールは以下のようになります。
※品種によって若干異なる場合がありますので、詳しくは購入される種のパッケージ表記をご確認下さい。
栽培/育て方の手順
適した土づくり(地植えの場合)
①酸度調整
ヤーコンは弱酸性の土を好みますので、必要に応じて植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて土の酸度を調整し、よく耕しておきます。(目安:100g※2つかみ程度/㎡)
参考pH値 | 5.0-6.0 |
② 元肥を施す
植え付けの1週間前に堆肥2kg/㎡、化成肥料100g/㎡を施して良く耕します。
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・肥料ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
肥料の三要素・種類と効果。ぼかし肥の作り方
③畝作り
土を盛り上げて幅80cm、高さ10cm、条間は20cmで畝を作ります。
適した土づくり(プランターの場合)
①栽培用プランター
幅60cm深さ30cm以上のプランターで栽培をします。
標準サイズのプランターで育てられますが、深さのあるプランターを場所や収穫量に合わせて用意します。
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②プランター栽培用の土
市販の元肥・pH調整済みの野菜用培養土を使用すると楽に栽培ができます。ホームセンターなどで十分な量の土を購入しましょう。
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ゴールデン粒状培養土を配合した園芸・家庭菜園に最適な培養土です。ゴールデン粒状培養土配合なので、保肥力・保水性・排水性のバランスが良い理想的な土です。
③以前使用した土を再利用する場合
他の野菜を育てた使用済みの土などを再利用して使う場合は、土を消毒してリサイクルすることができます。
リサイクル材を使用すると便利です。
・プランターで使用した土の再利用方法については、以下の記事で詳しく説明しています。
プランターで使用済みの土を再利用するリサイクル方法
苗選び
①苗の購入
ヤーコンは苗もしくは種芋をホームセンターなどで購入して栽培します。
購入できる品種としては、ペルー品種と日本品種のものとで大きく分けて2種類があります。
芋の色や大きさ、育てやすさなどで違いがありますので、よく選んで育てましょう。
品種:ペルーA・B/サラダオカメ/サラダオトメ/アンデス
②種芋の場合
ヤーコンはスーパーなどで売られているヤーコン芋を植えても芽が出ることはありません。
ヤーコンの種芋となる塊茎を購入して植える必要があるので注意が必要です。
・苗と種の選び方については、以下の記事で詳しく説明しています。
野菜の苗・種の育て方と選び方(接ぎ木/ポット苗)
植え付け(定植)
植え付けの時期
4月中旬から5月中旬に植え付けを行います。
苗を植え付ける場合
ポットから苗を取り出した時に、苗の根の周りに付いている土の塊(苗鉢)がボロボロと崩れてしまない様に、前日の朝などに苗に水やりを行います。
※忘れてしまった場合は、植え付け前でも大丈夫です。
株間は50cmとして植え付けする場所を決めて植え付け場所が決まったら、育苗ポットの大きさよりも少し大きな穴(植穴)を掘り、水をたっぷり入れて入れた水がひくのを待ちます。
ポットから苗を取り出して、取り出した苗の根鉢を崩さないように注意して、掘った植穴に丁寧に入れます。
周りの土と苗を手のひらで軽く抑えて密着させます。
植え付け後はたっぷり水を与えましょう。
・苗木の植え方ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
野菜の苗木の植え付け方法(定植)
種芋を植える場合
植え付けの3日前になったら種芋の切り分けを行います。
大きめの種芋は、1片が30g程度、芽が2〜3個程度付くように、縦に切り分けます。
切り口に、草木灰をつけるか、天日で1日程度乾かして殺菌をします。
10cm程度の深さの穴を50cm程度の間隔で掘り、種芋を切り口が下になる様に植えて、上から土を被せます。
水やり
基本的に土の表面が乾いていたら水やりを行います。
特に夏の気温が高い時期は土壌の乾きが早いので、注意して行います。
水やりが不足気味になることで、ヤーコンの成育が鈍くなります。
水やりが不足して乾燥状態が続くと、下の方の葉が徐々に枯れてきてしまいます。同時に肥料を吸い上げる力も衰えてきてしまうので、真夏は特に水やりと追肥をきちんと行う必要があります。
追肥・土寄せ
植え付けから半月経過した頃に1度目の追肥を行います。
株元に化成肥料30g/㎡(軽くひと掴み程度)を施して土寄せします。
化成肥料の代わりに、牛糞やぼかし肥を施すのも効果があります。
2度目の追肥は1回目から1ヶ月経過した頃に同じように追肥と土寄せを行います。
その後は1ヶ月に1回のペースで同様に追肥と土寄せを行いましょう。
また、周りの雑草もこまめに取り除いておきます。
収穫
10月下旬頃になりヤーコンの茎と葉が徐々に枯れてきたら収穫のタイミングです。
茎の部分を20cm程度残してハサミなどで切ります。
あとは土中に埋まっているヤーコンを傷つけないように、手で掘るか、株元から20〜30cm程度離れた場所にスコップを差し入れて掘り起こす形で収穫を行います。
・栽培するエリアによって異なりますが、ヤーコンは寒さに弱く土の温度が0度以下になり霜が降りると、ヤーコンが土中で徐々に腐って傷んでしまうので、霜にあたる前の適期を逃さないように収穫を行いましょう。
収穫後の保存方法
収穫したヤーコンの芋が乾燥しきらないように、発泡スチロールの箱に籾殻と一緒に入れて蓋をして光を遮断して、冷暗所で保存を行うと翌年の2〜3月くらいまでは保存が可能です。
収穫後、数週間が経過すると糖が分解されて一層甘みが増します。
失敗しない栽培・育て方のコツ
①ヤーコンは土中深く根を張る根菜となりますので、プランター栽培の場合は30cm以上の深型を使用して、地植えの場合には深く土を耕すようにしましょう。
②ヤーコンの草丈は最大で1.7m程度まで高く育ちます。株間を近くしすぎて茂りすぎてしまったり、周囲で育てる野菜が日照不足にならないように気を配りましょう。
また、2mなど草丈が伸びすぎてしまった場合は、少し剪定(草先を切ること)しても良いでしょう。
③成育適温が〜25度になりますので、夏の暑い時期にはプランターの場合は直接日が当たらない場所へ移動したり、地植えの場合には藁を株元に敷くなとして調節しましょう。
よくある病気と害虫対策
病気
病気に強く無農薬栽培が可能です。
害虫対策
害虫被害もほとんどありません。
時折下記の害虫が出ますが、気にするほどではないので、無農薬栽培が可能です。
・アブラムシ(新芽・新葉への群生により植物の汁を吸う。病気の媒介)
対策:発見次第手や筆などで払いおとし除去。アディオン乳剤、オレート液剤を使用した駆除。
・ヨトウムシ(夜間に葉を食い荒らす)
対策:発見次第除去。(夜間に活動)
・病害虫の対策と予防ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園の野菜の病気と害虫対策・予防方法
連作における注意
ヤーコンは連作障害があります。連続して同じ場所で栽培する場合、3年程あけて植えましょう。
連作をして育てることで収穫量が減ったり、病害虫被害に遭いやすくなります。
主なヤーコンの種類
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・サラダオカメ
黄橙色の日本で開発されたヤーコンです。
フラクトオリゴ糖を含み甘くて美味しく人気の高い品種です。
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・サラダオトメ
芋に裂根が起きづらく、耐寒性が強く寒冷地での栽培にも向く晩生品種です。
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・アンデスの雪
収穫量が多く、裂根が起きづらい、白色のヤーコンです。長期保存が可能です。
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・アンデスの乙女
根に付く芋の数が多く芋も大きい為、収穫量が非常に多いです。
鮮やかな赤紫色をしたヤーコンです。
まとめ
ヤーコンの栽培は、水切れを注意して追肥を定期的に行い、葉が茂って日照不足を起こさないようにするのが育て方のポイントになります。害虫も少なく、サラダなど生食でもシャキシャキと美味しく食べることができます。家庭菜園で手軽にヤーコンの収穫を楽しみましょう。
MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。