家庭菜園をこれから始める初心者の方〜中級者の方へ、春菊(シュンギク)の育て方の手順を、写真とイラストでわかりやすく解説します。
春菊栽培の特徴、種まきから収穫までの栽培時期と手順、水やり、プランターでの栽培方法、上手に育てるポイント、春菊の品種、病害虫への対策などをご説明していきます。
春菊栽培の特徴
独特な香りが特徴的な春菊は地中海が原産で、春に黄色い花が咲くことから「春菊」と呼ばれて食用に改良されました。
春菊特有の香りがする葉には、疲労回復に効くビタミンC、ガン予防に効果もあるβカロチン、骨の健康維持に効果的なカルシウム、鉄分など、栄養素も豊富に含む野菜です。
栽培には冷涼な気候が向いており、生育適温が15〜20℃になり、土壌も選ばずに栽培も比較的簡単で、夏以外の季節ならいつでも栽培することができます。
春菊の栽培カレンダー
春菊の種まきから収穫までの栽培時期・栽培スケジュールは以下のようになります。
春菊栽培に適した環境
冷涼な気候で、日当たり・水はけが良い土壌を好みます。
寒さに強く寒さが厳しい中でも越冬することができます。
乾燥には弱い為、水やりには注意しましょう。
生育適温 | 15〜20℃前後 |
種まき〜収穫期間 | 40〜60日程度 |
シュンギク栽培で用意するもの
・畑などで直まきの場合
1.シュンギクの種
2.苦土石灰(100円ショップでも購入可能)
3.堆肥
4.化成肥料
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・プランターの場合
1.シュンギクの種
2.プランター
3.野菜用培養土
4.液肥
・家庭菜園で使用する道具ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園で使用する道具と使い方
春菊の栽培/育て方
春菊に適した土づくり
①酸度調整
必要に応じて、植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて土の酸度を調整し、よく耕しておきます。(目安:100g※3つかみ程度/㎡)
参考pH値 | 5.6-6.5 |
② 元肥を施す
種まき1週間前に堆肥2kg/㎡、化成肥料100g/㎡を施して良く耕します。
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・肥料ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
肥料の三要素・種類と効果。ぼかし肥の作り方
③畝作り
土を盛り上げて幅60cm、高さ5 〜10cmほどの畝を作ります。
春菊の種まき
条間20cmで深さ1cmの2列のまき溝を作り、種が重ならないようにすじまきします。
種をまいた溝の両側を指で挟む様になぞって、種に土をかぶせて、土の表面を手のひらで軽く押して種と土を密着させたら、たっぷりと水やりを行います。
・種のまき方ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
種まきの種類と方法。すじまき・点まき・ばらまき・ポットまき
春菊の水やり
春菊は乾燥に弱く、水切れを起こすと生育に悪い影響が出ます。
土が乾燥させないように注意して、水やりを適宜行うようにましょう。
間引き・追肥・土寄せ・除草
①間引き
本葉が出始めたら、3cm程度の間隔になるように間引きます。
さらに本葉が4〜5枚程度になると隣の株と重なり合うようになります。なるべく混み合わないように、成長の弱い株を抜いて、5cm程度の間隔に間引きます。
間引いたあとは周りの土を軽くほぐしながら、都度軽く株元で土寄せを行いましょう。
隣の株を引き抜いてしまわないように、株元を手で抑えながら引き抜くか、心配な場合はハサミでカットします。
②追肥・除草
2回目の間引き時に追肥を行います。
株元に化成肥料30g/㎡(軽くひと掴み程度)を条間に施してよく混ぜます。
春菊の収穫
草丈の高さが20cm程度になったら収穫のタイミングです。
株元から引き抜いて収穫を行います。
摘み取り品種の場合や、長く収穫を楽しむ場合は、本葉を4〜5枚残して若菜を摘み取って収穫ことで、わき芽をのばして繰り返し収穫を行うことができます。
春菊の栽培/育て方(プランターの場合)
プランター栽培での準備
・土
市販の元肥・pH調整済みの野菜用培養土を使用すると楽に栽培ができます。ホームセンターなどで十分な量の土を購入しましょう。
・プランター
小〜中サイズのプランターを用意します。
プランターに8割ほど土を入れて準備します。
春菊のプランターへの種まき
①種まき
プランターの土を軽く湿らせて、中央に深さ1cm程度のまき溝を作ります。
種が重ならないように、すじまきを行います。
土を薄くかぶせて軽く土を抑えて土と種を密着させて、優しく水をやります。
深く種をまきすぎると、発芽率が悪くなります。
春菊のプランター栽培での水やり
春菊は乾燥に弱い野菜です。
水不足は、茎葉の成長に影響して収穫を減らしますので、土が乾燥したら水やりをします。
プランター栽培での間引き・土寄せ・追肥
①間引き・土寄せ
春菊の芽が発芽した頃に間引きを行います。
葉が重なり合うことの無いように、ハサミで成長の弱い株を株元から切って間引きます。
その後も、隣の株と葉が重なり合わないように、最終的には株間10cm程度になるくらいまで、生育の悪い株を間引いてゆきます。
②追肥
1回目以降の間引き時に、液肥を薄めたものを追肥しましょう。
化成肥料でも構いませんが、液肥の場合は強い肥料を1度で追肥してしまうと根が傷む原因になりますので控えましょう。
春菊のプランター栽培での収穫
春菊の草丈が、15〜20cm程度に伸びてきたら収穫時期です。
葉の先端を摘み取って収穫します。
株元ではなく葉の付け根からカットして収穫することで、わき芽が伸びて長く収穫が可能になります。
わき芽が伸びたら同様に2、3節残してわき芽を収穫しましょう。
失敗しない春菊の栽培・育て方のコツ
①種まきは、土を薄めに被せて種と密着させて、発芽まで土を乾燥させないように水やりを行いましょう。
②株張り品種の場合は、わき芽を伸ばさずに株を引き抜いて収穫を行いましょう。
③春の遅い時期の種まきで栽培する場合は、とう立ち(花が咲く)前に株ごと引き抜いて収穫をしましょう。
春菊のよくある病気と害虫対策
病気
・ベト病(葉に灰白色のカビ、黄色い斑点が発生)
対策:水はけを良くする。チッ素を多くしない。
・モザイク病(葉がモザイク模様になる)
対策:アブラムシの除去。
害虫対策
・アブラムシ(新芽・新葉への群生により植物の汁を吸う。病気の媒介)
対策:発見次第除去。
・ハダニ(葉の裏への群生により葉の色が抜ける)
対策:時々葉の裏を水で流す。
・ハモグリバエ(葉の中に幼虫が入り食害)
対策:葉の上から潰す。葉ごと処分。
・ヨトウムシ(夜間に葉を食い荒らす)
対策:発見次第除去。(夜間に活動)
・ネキリムシ(夜間に地面部分を食い荒らす)
対策:食害を受けた株の地面を掘って発見次第除去。(夜間に活動)
・アザミウマ(葉を食べてかすり傷をつける)
対策:発見次第除去。白系のマルチングで予防
・病害虫の対策と予防ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園の野菜の病気と害虫対策・予防方法
春菊の連作における注意
春菊は連作障害が出ます。
同じ場所での栽培は、2〜3年空けて行います。
春菊の種類
春菊は、わき芽を伸ばさずに株ごと引き抜く株張り品種と、わき芽を伸ばして収穫する品種があります。
まとめ
春菊の育て方は、土の乾燥に注意して真夏の栽培を避けて行います。
ご家庭のプランターなどでも簡単に育てることができるので、手軽に春菊の栽培を楽しみましょう。
MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。