家庭菜園をこれから始める初心者の方〜中級者の方へ、エシャレットの育て方の手順を、写真とイラストでわかりやすく解説します。
エシャレット栽培の特徴、種まきから収穫までの栽培時期と手順、水やり、品種、病害虫への対策、美味しく育てるポイントなどをご説明していきます。
エシャレットとは
エシャレットとは、らっきょうを早採りした野菜で、若どりらっきょう・根らっきょうとも呼ばれます。通常のらっきょうだと球形になった白い部分が食べられる部分になりますが、その白い部分を栽培の過程で土を被せて長くなるように育てたものになります。
ちなみに良く似た名前の野菜でエシャロットがありますが、こちらは西洋の料理などで使用される小型の玉ねぎのことで、全く違う野菜になります。
エシャレットは複数種類の品種がありますが、直植え・プランターで、家庭菜園初心者でも比較的栽培を簡単に行うことができます。便秘やコレステロール、血糖値の抑制に効果のある「フルクタン」や、「アリシン」を含み、生食でそのままサラダや、味噌をつけたりして美味しく食べることができます。
学名 | Allium cepa var. aggregatum |
和名/別名 | エシャレット/らっきょう/オオニラ/サトニラ |
英名 | Rakkyo |
原産地 | 中国、ヒマラヤ地方 |
科・属名 | ヒガンバナ科ネギ属 |
主な栄養価 | アリシン/S-アリル-L-システイン/ジアリルスルフィド/フルクタン/ビタミンC・E/パントテン酸/カルシウム/リン/鉄/ナトリウム/食物繊維/たんぱく質など |
栽培の特徴と適した環境
エシャレットは植え付けから収穫まで7、8ヶ月程度と期間が長くかかりますが、畑はもちろん庭先のプランターでも育てることが可能です。
土寄せをすることで軟白化を促して育てるので、粘土質ではなく通気性の良い砂土のような土壌を好みます。
生育適温として、耐寒性に優れ寒さには強い一方で、夏の暑い時期には弱く、植え付け時期についても適期に遅れることで収穫量が減ることがありますので注意が必要です。
長い間、畑やプランターを占領しますので、他に栽培する野菜との計画上で、風通しや日当たりなどを考えてから良い場所を選んで育てましょう。
生育適温 | 15℃〜22℃前後 |
植え付け〜収穫までの期間 | 7〜8ヶ月程度 |
連作障害 | 無し |
栽培で用意するもの
・畑などで直まきの場合
1.エシャレットまたはらっきょうの種球
2.苦土石灰(100円ショップでも購入可能)
3.堆肥
4.化成肥料
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・プランターの場合
1.エシャレットまたはらっきょうの種球
2.プランター
3.野菜用培養土(鉢底石と鉢底ネットがあると尚良い)
4.液肥
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・家庭菜園で使用する道具ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園で使用する道具と使い方
栽培時期カレンダー
エシャレットの種まきから収穫までの栽培時期・栽培スケジュールは以下のようになります。
栽培/育て方の手順
適した土づくり(地植えの場合)
①酸度調整
必要に応じて植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて土の酸度を調整し、よく耕しておきます。(目安:100g※2つかみ程度/㎡)
参考pH値 | 5.5-6.0 |
② 元肥を施す
植え付けの1週間前に堆肥1kg/㎡、化成肥料100g/㎡を施して、土中をやや深めに3〜40cm程を良く耕します。
エシャレットは多くの堆肥・肥料を必要としない為、生育状況に合わせて追肥で調整することができます。
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・肥料ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
肥料の三要素・種類と効果。ぼかし肥の作り方
③畝作り
土を盛り上げて幅50cm、高さ15cm、株間15cmで畝を作ります。
適した土づくり(プランターの場合)
①栽培用プランター
深さ20cm以上のプランターで栽培をします。土寄せを数度しながら栽培しますので深型のプランターが必要になります。
幅は場所や収穫量に合わせて用意します。
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②プランター栽培用の土
市販の元肥・pH調整済みの野菜用培養土を使用すると楽に栽培ができます。ホームセンターなどで十分な量の土を購入しましょう。
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ゴールデン粒状培養土を配合した園芸・家庭菜園に最適な培養土です。ゴールデン粒状培養土配合なので、保肥力・保水性・排水性のバランスが良い理想的な土です。
③以前使用した土を再利用する場合
他の野菜を育てた使用済みの土などを再利用して使う場合は、土を消毒してリサイクルすることができます。
リサイクル材を使用すると便利です。
・プランターで使用した土の再利用方法については、以下の記事で詳しく説明しています。
プランターで使用済みの土を再利用するリサイクル方法
苗選び
①種球の購入
エシャレットもしくはらっきょうの種球をホームセンターなどで購入して栽培します。
購入できる品種としては、「らくだ」「島らっきょう」「玉らっきょう」「八房」「九頭竜」など様々ならっきょうの品種がありますが、エシャレット栽培には「らくだ」がおすすめです。
栽培のポイントは、よい種球を選ぶことで、1球の重さ10g以上のものを使用します。植え付け前に分球して古根や皮を除き、大、小に分け、茎も2〜2.5cm程度切り捨てておきます
栽培して収穫を終えたらっきょうでも種球として植えることができます。
収穫したものを乾燥させておいて、植え付け前に1球づつをバラして皮をむいて準備します。
・苗と種の選び方については、以下の記事で詳しく説明しています。
野菜の苗・種の育て方と選び方(接ぎ木/ポット苗)
植え付け(定植)
・植え付けの時期
8月下旬から9月上旬に植え付けを行います。
・苗を畑などへ植え付ける場合
種球を株間10cmで2球づつを球の尖った先端を上方向にして浅く植えます。
2条で植える場合は条間を40cm開けて植えます。
先端がわずかに土から出るくらいに土をかぶせて、植えた後は水をたっぷりあげましょう。
・苗をプランターへ植え付ける場合
準備したプランターの鉢底に鉢底ネットを敷いて、プランターの底面に1層石を入れたら、培養土を7分目程度まで入れて表面を平らにならします。
種球を株間10cmで2球づつを球の尖った先端を上方向にして浅く植えます。
先端がわずかに土から出るくらいに土をかぶせて、植えた後はプランターの底から水が滲み出るくら水をたっぷりあげましょう。
・苗木の植え方ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
野菜の苗木の植え付け方法(定植)
水やり
基本的に土の表面が乾いていたら水やりを行います。
栽培する季節として寒い時期が多くなりますので、水をやりすぎて土の排水が悪く湿った状態が続くようなことが無いようにしましょう。水はけの悪さはエシャレットが腐る原因になります。
追肥
エシャレットは基本的に痩せた土壌でも育つ野菜なので、過度な追肥は必要ありません。
種球から芽が出だした頃に1度、2月頃に葉の色が悪ければ2回目の追肥を行います。
追肥は株元に化成肥料10g/㎡(軽くひと掴み程度)もしくはぼかし肥などを施しましょう。
また、周りの雑草もこまめに取り除いておきます。
まし土
エシャレットは軟白化を促して育てる為、まし土を適宜に行うことが大切です。
植え付けた2ヶ月後と2月頃の追肥時に5cm〜10cm程度土寄せを行ってまし土をしましょう。
このまし土をすることで、球と茎の部分に太陽光が当たらなくなり、白く軟らかく食べる部分が多くなります。
茎が曲がってしまわないように注意してまし土を行いましょう。
収穫
3月下旬から4月上旬になるとエシャレットの収穫タイミングです。
土中に埋まっているエシャレットを傷つけないように、株元から20〜30cm程度離れた場所にスコップを差し入れて掘り起こして、葉を掴んで引き抜いて収穫しましょう。
葉が青々しているうちが、辛味が少なく生でやわらかく食べられる時期になりますので、収穫適期を逃さないように収穫をしましょう。
6月中旬まで収穫を待つとらっきょうとして収穫を行うことができます。
失敗しない栽培・育て方のコツ
①らっきょうを育てる場合は浅植えに、エシャレットを育てる場合は深植えにするのがポイントです。(らっきょう3cm、エシャレットは5cm程度)
また、完全に土を被せて植えてしまうと太陽光があたらず発芽せずに枯れてしまうか、成育に悪い影響が出るので、土の表面からわずかに先端を出すように覆土しましょう。
②エシャレットは水はけが悪い土壌を嫌う性質があり、育成状態が悪いと土中で腐ってしまいます。水はけや風通しの良い場所で育てて、多湿を避けましょう。
③まし土を忘れずに収穫まできちんと行いましょう。
よくある病気と害虫対策
病気
・ウイルス病(葉に濃淡のあるモザイク模様や斑点が出たり、葉が変形したりします)
対策:病害にあった野菜は、すぐに株を抜いて他の野菜への伝染から守ります。(畑の外で焼却処分します。)
・さび病(葉の表面が錆びた様に、褐色の斑点が広がります)
対策:多雨多湿で多く発生します。
発生した株は早めに取り除き畑の外で処分しましょう。
「マンネブダイセンM水和剤」「カリグリーン」などの薬剤が効果的です。
また、アルカリ性の土壌を嫌う為、「石灰」を土壌に施すと菌の拡大を予防できます。
・軟腐病(株の地際部分が軟化して悪臭を放ちながら腐敗してしまう病気です。)
対策:高温多湿になると多く発生します。
被害株から伝染しますので、発生した株は早めに取り除き畑の外で処分しましょう。
「ヤシマストマイ液剤20」などの薬剤が効果的です。
水のやりすぎに注意して、水はけをよくしましょう。
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害虫対策
・アブラムシ(新芽・新葉への群生により植物の汁を吸う。病気の媒介)
対策:発見次第手や筆などで払いおとし除去。アディオン乳剤、オレート液剤を使用した駆除。
・ネギアブラムシ(葉への群生により汁を吸う。病気の媒介)
対策:発見次第手や筆などで払いおとし除去。アディオン乳剤、オレート液剤を使用した駆除。
・ネギアザミウマ(幼虫が葉を食害。病気の媒介)
対策:発見次第手や筆などで払いおとし除去。アディオン乳剤、オレート液剤を使用した駆除。
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・病害虫の対策と予防ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
連作における注意
エシャレットは連作障害がありません。連続して同じ場所で栽培することが可能です。
主なエシャレットの種類
・らくだ
もっとも一般的に栽培されているらっきょうの種類。
収穫量も多く草丈も高く成長します。
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まとめ
エシャレットの栽培は、水はけや風通しの良い場所で栽培して、まし土を数回に分けて行うのが育て方のポイントになります。適期を守って収穫を行い、生食でも辛味の少ないエシャレットを美味しく食べれるように、地植えやプランターで手軽にエシャレットの収穫を楽しみましょう。
MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。