じゃがいも、人参、大根など、春に植えられる根物野菜はたくさんあります。
3・4・5月の春に種まき・苗を植えて育てられる根菜類の栽培方法と、育て方のコツを紹介します。
種まきから収穫までの期間、家庭菜園での栽培難易度、手順早見表、おすすめの品種などを野菜毎に説明していきます。
畑などの地植えだけでなく、ベランダ・庭先でのプランターでも栽培ができる品種がありますので、是非チャレンジしてみてください。
根菜類・根物野菜とは
根菜類とは、土の中に生えている根が大きくなって、それを収穫できる野菜のことをいいます。
大きくなった葉を収穫する葉物類と違って、土中深く耕しておかないと、変形してしまうものも多く、プランター栽培の場合には容器や種類を選んで植える必要のあるものもあります。
春に育てる根物野菜の特徴
春に種まき・苗を植える根物野菜は、野菜や品種によって好む温度や環境がさまざまです。
収穫までの期間が長いものだと、真夏の暑い時期に差し掛かるので対策も必要になります
時期に合わせた品種選びと栽培が重要です。
3・4・5月に種まき・苗を植えられる根菜類
ラディッシュ(地植え・プランター両方可能)
栽培難易度
★☆☆
種まきと収穫の時期
・種まき:2〜9月まで随時種まきができます。
・収穫:種まきから1.5ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り→②種まき → ③間引き → ④追肥→ ⑤収穫
栽培の特徴
栽培期間が短いことから、和名で「二十日大根」と言い、実際の栽培日数は1〜2ヶ月程度です。
真夏・真冬を除いていつでも栽培が可能で、プランターでも栽培出来るので初心者の方が最初に野菜を育てるのに最適です。丸形や長細いタイプなどの品種があり、鮮やかで見た目も綺麗です。
おすすめの品種
コメット/紅白/雪小町/紅娘/サクランボ/カラフルファイブ/赤長二十日大根
育て方のポイント
✔ 発芽したら間引きをしっかり行う
✔ 発芽後は日光にしっかり当てる
✔ 追肥は株間に施す
✔ 種は購入して新しいものをまく
✔ 土寄せをきちんと行う
暑い夏や真冬を除けばいつでも作れますが、生育適温は15〜20度ですので、春と秋が栽培しやすいでしょう。形の良いものを作るコツは間引きのタイミングを送らせないことと、乾燥に注意しながら育てることです。
大根(地植え)
栽培難易度
★☆☆
種まきと収穫の時期
・種まき:4・9・10月に種まきができます。
・収穫:種まきから2〜3ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り(耕す/肥料/畝)→ ②種まき→ ③間引き✕2→ ④追肥・土寄せ→⑤間引き→ ⑥収穫
栽培の特徴
種類や品種もとても豊富な大根。春まき、夏まき、秋まきが可能ですが、初心者には病害虫の被害が少なく栽培も簡単にできる秋まきがオススメです。
基本的には冷涼な気候を好み、夏の暑さは苦手です。季節ごとの栽培に適した品種を選ぶようにしましょう。
おすすめの品種
収穫時期が春まき、秋まきに別れますので、時期にあった品種を育てましょう。
時無/二年子/みの早生/三浦/練馬/青首/聖護院/天安紅心
育て方のポイント
✔ 土作りを行う際にしっかりと深く耕す
✔ 害虫被害を受けやすいのでこまめにチェック
✔ 害虫が多い場合には寒冷紗などでトンネル栽培を
✔ 追肥と土寄せをしっかりと行う
✔ 収穫が遅れるとすが入って美味しくない
生育適温は15〜20度で、涼しい気候を好みます。
カブ/小カブ(地植え・プランター両方可能)
栽培難易度
★☆☆
種まきと収穫の時期
・種まき:3〜5月・8〜10月(時期にあった品種をまきます)
・収穫:種まきから1.5〜2ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り(耕す/肥料/畝)→ ②種まき→ ③間引き→ ④追肥・土寄せ→ ⑤収穫
栽培の特徴
比較的短時間で育つので、初心者でも栽培しやすく、特に小カブの栽培がオススメです。
涼しい気候を好み、夏の暑さはやや苦手ですが、年に数回育てられるので、家庭菜園の計画に取り入れやすいのが特徴です。また、地域ごとの在来種があり、育てる楽しみも多い野菜です。
おすすめの品種
色は紅白、形や大きさも小中大カブとさまざまな品種があります。
家庭菜園では小〜中カブが作りやすくオススメです。
金町/雪姫/あずま小町/聖護院/津田/日野菜/赤丸
育て方のポイント
✔ 幼苗時期に間引きすぎない
✔ 発芽した根が肥料にあたると痛みやすい
✔ 連作障害があり、続けて同じ場所で育てると根コブ病になりやすい
高温に弱く、涼しい気候を好む為、生育適温は15〜20度程度。紀元前3000年頃からすでに栽培されていたといわれる古くからある野菜です。
人参(地植え・プランター・水耕栽培可能)
栽培難易度
★★☆
種まきと収穫の時期
・種まき:4〜6月
・収穫:種まきから5〜6ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り(耕す/肥料/畝)→ ②種まき→ ③間引き✕2→ ④追肥・土寄せ→ ⑤収穫
栽培の特徴
中央アジア原産の野菜です。涼しい気候を好み、種まきから本葉が出るまでの生長がとても長いのが特徴。品種はとても多く、それぞれの季節に適した品種を選んで植えると失敗が少ない。
おすすめの品種
短根種と長根種があります。また、ミニ品種としてベビーキャロットやピッコロなどもあります。
本紅金時/TS三寸/金港四寸/時なし五寸
育て方のポイント
✔ 種まきの際に土を厚く被せないように注意
✔ 発芽まで乾燥させたり、雨で種を流したりしないように
✔ 未熟な堆肥や小石に当たると根が割れやすい
生育適温は18〜22度。これより高温でも低温でも生育が悪くなります。春まきと夏まきが可能です。
ごぼう(地植え・プランター両方可能)
栽培難易度
★★☆
種まきと収穫の時期
・種まき:3〜5月
・収穫:種まきから6〜7ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り(耕す/肥料/畝)→ ②種まき→ ③間引き→ ④追肥・土寄せ→ ⑤収穫
栽培の特徴
高温を好み、夏の暑さにも負けずに良く生長します。通常の品種では長さが1mにも達する為、畑は深く耕す必要があり、栽培期間も長くなります。
最近多く出回るようになったサラダゴボウは、長さ40cmほどで収穫までの期間も短めなので、深さのあるプランターなどでも栽培が可能です。
おすすめの品種
山田早生/渡辺早生/柳早生/滝野川/砂川/大浦/サラダゴボウ
育て方のポイント
✔ 土作りの際に、深さ80cm程度まで耕して酸度調整をしましょう
✔ 幼苗期に間引きをしすぎない
✔ 根にそって深く掘ってから収穫しないと、せっかくのごぼうが折れてしまいます
生育適温は20〜25度ですが、30度以上の高温でも育ちます。
冬になると葉や茎は枯れてしまいますが、根は寒さにも強く、特に何も手を施さなくても冬を越して春には新しい芽を出します。芽が出たばかりの頃の苗は、乾燥に弱いですが、生長するにつれて乾燥に強くなり多湿を嫌うようになります。
長く伸びるのでプランター栽培には不向きですが、肥料の空袋などの厚手で大きなビニール袋で栽培することもできます。
ヤーコン(地植え・プランター両方可能)
栽培難易度
★★☆
植付けと収穫の時期
・植付け:3〜4月
・収穫:植付けから8ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り(耕す/肥料/畝)→②苗の植付け→ ③追肥・土寄せ→④収穫
栽培の特徴
ヤーコンとは英名で「Yacon(果実)」と呼ばれ、さつまいもにも似た多年生の根菜類です。
複数種類の品種がありますが、地植え・プランターでも、病害虫被害も少なく家庭菜園初心者でも比較的栽培を簡単に行うことができます。
おすすめの品種
購入できる品種としては、ペルー品種と日本品種のものとで大きく分けて2種類があります。
芋の色や大きさ、育てやすさなどで違いがありますので、よく選んで育てましょう。
ペルーA・B/サラダオカメ/サラダオトメ/アンデス
育て方のポイント
✔ 深く根を張るので土作りの際には、深く耕しましょう。プランターは深底のものを使用
✔ 草丈が高く育つので、茂りすぎないように株間を広く取る
✔ 真夏の暑い時期には、株元に藁などを敷く(暑さ対策)。プランターは日陰へ移動
ヤーコンは植え付けから収穫まで半年程度と期間が長くかかりますが、畑はもちろん庭先のプランターでも育てることが可能です。
比較的冷涼な気候と日光を好みますが、0度以下になる寒すぎる時期や、真夏の暑すぎる気候には弱い為、栽培する地域で育てる時期が少し異なります。
草丈が高く成長しますので、きちんと株間をとって風通しや日当たりが良い場所を選んで育てましょう。
里芋(地植え)
栽培難易度
★☆☆
植付けと収穫の時期
・植付け:3〜5月/10月
・収穫:植付けから4〜5ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り→ ②植付け→ ③追肥・土寄せ→ ④収穫
栽培の特徴
高温多湿を好み、夏の暑さでもよく育ちます。ただし、乾燥がとても苦手で、乾燥にさえ注意すれば、栽培は以外と簡単です。
おすすめの品種
親芋が育つ種類と小芋ができる種類があります。
八つ頭/赤芽/エビイモ/石川早生/土垂/セレベス
育て方のポイント
✔ 梅雨明けまでに追肥・土寄せをする
✔ 雨がふらない時期は、株元にワラなどを敷いて乾燥から守る
夏の暑い日差しのもとでもよく育つ野菜です。高温多湿を好む一方で、寒さと乾燥を嫌います。
熱帯アジア原産で生育適温25〜30度。葉が大きく生長するので、狭い場所での栽培には適していません。
じゃがいも(地植え)
栽培難易度
★☆☆
植付けと収穫の時期
・植付け:2〜4月/9〜11月
・収穫:植付けから3〜4ヶ月で収穫可能
育て方の手順
①土作り→ ②種芋の準備→ ③植付け→ ④芽かき→ ⑤追肥・土寄せ→ ⑥収穫
栽培の特徴
暑さにも寒さにも弱い、南アメリカ原産の野菜です。栽培時期を守って良い種芋を用いれば栽培は比較的簡単です。
植付けから収穫までの期間が割と早く、育てやすい男爵が一般的ですが革が赤色なものや、芋の黄色が強いものなど品種も多く育てやすくなっています。
おすすめの品種
男爵/メークイン/アンデス/アイノア
育て方のポイント
✔ 種芋は芽が均一になるように切り分けて、切り口に草木灰を付ける
✔ 土寄せをきちんと行わないと、芋が緑色になり食べれなくなる
✔ pHが上がりすぎると、そうか病が出やすくなる
生育適温は15〜20度で冷涼な気候を好みます。酸性土壌に比較的強く、石灰での中和はほぼ必要ありません。ただし、連作障害が出るので、ナス、トマト、ピーマンなど同じナス科の野菜を同じ場所で栽培するのは避けましょう。
MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。