家庭菜園をこれから始める初心者の方〜中級者の方へ、里芋の育て方の手順を、写真とイラストでわかりやすく解説します。
里芋栽培の特徴、種まきから収穫までの栽培時期と手順、水やり、上手に育てるポイント、里芋の品種、病害虫への対策などをご説明していきます。
里芋栽培の特徴
里芋は、熱帯性アジアを原産地として、古く稲作よりも前の縄文時代に日本に伝わった芋の仲間です。
熱帯地方原産なので、高温での栽培に向いていて、病害虫も少ないので、比較的栽培は簡単に行うことができます。
5株程度植えるだけで、1家族で十分な量の多くの収穫ができます。
芋類のなかではカロリーが低く、食物繊維も多く含みますので、体重が気になる方にもおすすめです。
里芋の栽培カレンダー
里芋栽培に適した環境
高温での栽培が必要となる為、暖かい気温が数ヶ月続く地域での環境が必要になります。よって東北地方より北での栽培は困難です。
また、乾燥に弱く、日当たりと雨の量が多い地域での栽培に適しています。
生育適温 | 25〜30℃ |
種まき〜収穫まで | 180〜210日 |
里芋の栽培/育て方
里芋に適した土づくり
里芋などの根菜類は、土壌の状態が収穫に影響します。出来るだけ土を細かく耕してやわらかい土の状態を作るのがポイントになります。
①酸度調整
植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて耕しておきます。(目安:100g※3つかみ程度/㎡)
参考pH値 | 6.0-6.5 |
② 元肥を施す
種まき1週間前に堆肥3kg/㎡、化成肥料100g/㎡を施して良く耕します。
準備できる場合は、さらに骨粉を施すことで芋の生育が良くなります。
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・肥料ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
肥料の三要素・種類と効果。ぼかし肥の作り方
③畝作り
土を盛り上げて幅80〜100cm、高さ20〜30cmほどの畝を作ります。
水はけの悪い土壌は避けて準備しましょう。また、根が1m程深く張るので、深めによく耕しておきます。
里芋の植え付け
畝の中央に種芋の芽を上向きにして、5cm程度の土が被る深さに株間隔50cmで植えていきます。
植えた後は、種芋の上に軽く5cm程度土を被せます。
あまり深く植えてしまうと、土の温度が上がらずに発芽が悪くなります。また、温度を上げる為に植え付けの後にマルチングをするのも効果的です。
発芽・追肥・土寄せ
①発芽
植え付け後、1ヶ月程度で発芽します。
マルチングをしている場合は、芽がマルチの表面を押上ますので、マルチの表面を破って芽を外に出してあげます。
本葉が2〜3枚出てきた頃には作業しやすいようにマルチを取り外しても良いでしょう。
②追肥
発芽後は約3週間経過して、本葉が5〜6枚になった頃に追肥を行います。
以降は、収穫まで月に1度同様に追肥と土寄せをします。
1株に軽く一握り程度の化成肥料30g/㎡を、株の周囲に施します。
また、追肥の後は必ず土寄せを行います。
この頃にわき芽を切り取って取り除くことで、芋への栄養を促して大きく美味しく育てることができます。
※引き抜くとわき芽以外も取れてしまう恐れがあるので、切り取って摘み取りましょう。
③土寄せ
追肥をしたら、合わせて土寄せを行います。大体収穫までに合計で3回程、同じ作業を行います。
土寄せは生育に合わせて土を高く盛って最終的には30cm程の高さにします。
この時に、株の脇に小芋から伸びてくる小さな芽は土寄せとともに土中に埋めるようにします。
里芋の水やり
里芋は乾燥に弱い為、土の表面が乾いている時にたっぷり水やりをしましょう。
特に真夏の時期については、水切れを起こさないように、定期的に夕方に水やりをたっぷりと行います。
乾燥時期にはワラなどで株元を保湿して、水切れを予防するのも効果的です。
里芋の収穫
中間地・暖地エリアでは10月中旬、霜に1、2回当たったら収穫のタイミングです。
大き目のショベルで株の周りを広めに掘り、株の根元を掴んで引き上げます。芋を傷つけないように注意して行いましょう。
収穫時期が早いと孫芋が育たずに収穫量が減少するので注意しましょう。親芋も食べられますので、小芋と合わせて美味しく食べましょう。
里芋の長期保存方法
収穫した里芋は、1日日陰で干してから土を落とすことによって、長期保存が可能になります。
秋に収穫した里芋を、ひと手間かけることによって、翌年の春頃までの保存ができ美味しく食べられます。
失敗しない里芋栽培・育て方のコツ
①里芋は肥料を吸収する力が高いので、多くの堆肥を与えましょう。また、肥えた土壌を選びましょう。
②真夏の時期は気温が上昇するとともに、乾燥への注意が必要です。乾燥が進むと葉が黄ばみ生育に影響が出ます。5m程の畝で1週間に約10l程の水が必要になります。
③土寄せは芋の上に10cm程度土が隠れるように行うことで、芋の成長が促されます。
④水やりに不安のある場合は、乾燥防止として株元にワラなどを敷いて保湿しましょう。
里芋のよくある病気と害虫対策
害虫対策
・アブラムシ(新芽・新葉への群生により植物の汁を吸う。病気の媒介)
対策:発見次第除去。
・ハダニ(葉の裏への群生により葉の色が抜ける)
対策:時々葉の裏を水で流す。
・エビガラスズメ(茶色の大型害虫が葉を食害)
対策:見つけて捕殺。
・ハスモンヨトウ(夜間に土中から幼虫が出て葉を食害)
対策:確認次第、土中を確認して捕殺。
・病害虫の対策と予防ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園の野菜の病気と害虫対策・予防方法
里芋の連作における注意
里芋は連作障害が出ます。
同じ場所でのサトイモ科の栽培は、3〜4年空けて行います。
まとめ
里芋の栽培は、深くよく耕して、植え付け時の地温を上げ、水不足に注意することが育て方のポイントになります。
沢山収穫して里芋の栽培を楽しみましょう。

MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。