家庭菜園をこれから始める初心者の方〜中級者の方へ、水菜(キョウナ)の育て方の手順を、写真とイラストでわかりやすく解説します。
水菜栽培の特徴、種まきから収穫までの栽培時期と手順、水やり、プランターでの栽培方法、上手に育てるポイント、水菜の品種、病害虫への対策などをご説明していきます。
水菜栽培の特徴
元々は日本(京都)が原産と言われている京野菜の水菜。
その名の通り、栽培に多くの水を必要として、水で育つと言われる野菜で、元々は水入菜とも呼ばれていました。
先が尖った葉には、シャキシャキと歯ごたえも良く、疲労回復に効くビタミンC、ガン予防に効果もあるβカロチン、骨の健康維持に効果的なカリウム・カルシウムを含み、健康にも良い野菜です。
栽培には冷涼な気候が向いており、生育適温が15〜25℃になるので、秋から冬にかけての栽培に適しています。
水菜の栽培カレンダー
水菜の種まきから収穫までの栽培時期・栽培スケジュールは以下のようになります。
春に種をまく春まきと、秋まきができますが、秋からの方が気候や水持ちも良く、害虫も少ないので育てやすいです。
水菜栽培に適した環境
冷涼な気候で、日当たりが良く、土壌が肥えていて、水を多く必要とします。比較的、暑さにも耐えることができます。
生育適温 | 15〜25℃前後 |
種まき〜収穫期間 | 30〜50日程度 |
水菜栽培で用意するもの
・畑などで直まきの場合
1.水菜の種
2.苦土石灰(100円ショップでも購入可能)
3.堆肥
4.化成肥料
5.マルチング(必要に応じて)
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・プランターの場合
1.水菜の種
2.プランター
3.野菜用培養土
4.液肥
・家庭菜園で使用する道具ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園で使用する道具と使い方
水菜を育てる際の株の種類
水菜は品種・栽培方法によって、小株どりと言われる小さな株での収穫と、大株どりと言われる大きいサイズで収穫することが可能です。
それぞれ、収穫したい株の大きさによって、若干栽培方法が異なりますので注意しましょう。
水菜の栽培/育て方
水菜に適した土づくり
①酸度調整
小株・大株共に必要に応じて、植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて土の酸度を調整し、よく耕しておきます。(目安:100g※3つかみ程度/㎡)
参考pH値 | 5.8-6.5 |
② 元肥を施す
種まき1週間前に堆肥2〜3kg/㎡、化成肥料100g/㎡を施して良く耕します。
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・肥料ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
肥料の三要素・種類と効果。ぼかし肥の作り方
③畝作り
土を盛り上げて幅70cm、高さ5 〜10cmほどの畝を作り、マルチングをしておきます。
水菜の種まき
・小株どりの場合
株・条間15cmとして、マルチに穴を開けて、1穴あたり5粒の種を、深さ1cm程度の穴を開けてまきます。
マルチングをしない場合は、条間20cmで2列のまき溝を作り、すじまきします。
・大株どりの場合
株間30cm・条間45cmとして、マルチに穴を開けて、1穴あたり5粒の種を、深さ1cm程度の穴を開けてまきます。
・種まきの方法ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
種まきの種類と方法。すじまき・点まき・ばらまき・ポットまき
水菜の水やり
水菜はその名の通り、成長に多くの水を必要とします。
水不足は、茎葉の成長に影響して収穫を減らしますので、乾燥させないように水やりをします。
株が成長してきたら、直接株に水がかからないように、株元に水やりを行いましょう。
間引き
・小株どりの場合
本葉が出始めたら、マルチ1穴あたり、3本程度に間引きます。
さらび本葉が3枚程度になる時期に、なるべく混み合わないように、成長の弱い株を抜いて、2本に間引きます。
間引いたあとは都度軽く土寄せを行いましょう。
・大株どりの場合
本葉が出始めたら、マルチ1穴あたり、3本程度に間引きます。
さらび本葉が3枚程度になる時期に、なるべく混み合わないように、成長の弱い株を抜いて、2本に間引きます。
さらに、本葉が5枚になる頃、1本に間引きを行います。
間引いたあとは都度軽く土寄せを行いましょう。
追肥・除草
2回目の間引き時に追肥を行います。
株元に化成肥料30g/㎡(軽くひと掴み程度)を条間に施してよく混ぜます。
葉の色が浅い場合には、液肥を施すことで葉の色が鮮やかに濃くなります。
水菜の収穫
・小株どりの場合
草丈の高さが30cm程度になったら収穫のタイミングです。
株元をハサミなどで切り取って収穫します。
・大株どりの場合
品種の収穫時期を確認して、株が大きく張り出したら収穫のタイミングです。※12〜1月頃
株元の土をかき分け露出させて、ハサミで切って収穫します。
収穫後の水菜の根は、土の中に残すことのないようにしましょう。
水菜の栽培/育て方(プランターの場合)
プランター栽培での準備
・土
市販の元肥・pH調整済みの野菜用培養土を使用すると楽に栽培ができます。ホームセンターなどで十分な量の土を購入しましょう。
・プランター
広めのプランターを用意します。
プランターに7割ほど土を入れて準備します。
水菜の種まき
プランターの中央に、深さ1cm程度のまき溝を作ります。
種が重ならないように、すじまきを行います。
土を薄くかぶせて軽く土を抑えて土と種を密着させて、優しく水をやります。
深く種をまきすぎると、発芽率が悪くなります。
間引き・土寄せ
①1回目の間引き
水菜の芽が発芽した頃に間引きを行います。
葉が重なり合うことの無いように、ハサミで成長の弱い株を株元から切って間引きます。
②2回目の間引き
水菜の株が10cm程度の高さに成長したら、間引きのタイミングです。
株間5cm程度になるように、引き抜くかハサミで切って間引きます。
間引いた株は食べれますので、無駄にせず美味しく頂きましょう。
水菜の水やり
水菜は非常に多くの水を必要とします。
水不足は、茎葉の成長に影響して収穫を減らしますので、土を乾燥させないように注意して水やりをします。
追肥
2回目の間引き時に、液肥を薄めたものを追肥しましょう。
以後も、葉の色が薄い場合には、液肥を与えましょう。
水菜の収穫
水菜の草丈が、20cm程度に伸びてきたら収穫時期です。
株元からハサミでカットして順次収穫します。
失敗しない水菜の栽培・育て方のコツ
①水菜は成長に水を多く必要とします。
乾燥に注意して、ムラなく均等に水やりをしましょう。
②追肥は通常では2回目の間引き時に行いますが、成長に合わせて悪い時は行いましょう。
③寒い地域での栽培や、寒冷期の栽培では、寒冷紗のべたがけで保温すると生育に良い影響があります。
水菜のよくある病気と害虫対策
病気
・ベト病(葉に灰白色のカビ、黄色い斑点が発生)
対策:水はけを良くする。チッ素を多くしない。
害虫対策
・アブラムシ(新芽・新葉への群生により植物の汁を吸う。病気の媒介)
対策:発見次第除去。
・アオムシ(モンシロチョウの幼虫による葉の食害)
対策:モンシロチョウが飛び始めたら、葉を観察して捕殺。葉裏の卵も取る。
・ハダニ(葉の裏への群生により葉の色が抜ける)
対策:時々葉の裏を水で流す。
・病害虫の対策と予防ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園の野菜の病気と害虫対策・予防方法
水菜の連作における注意
水菜は連作障害が出ます。
同じ場所での栽培は、1〜2年空けて行います。
水菜の種類
水菜は総称してツケナ類とも呼ばれ、結球しないタイプのアブラナ科になります。
キョウナ、壬生菜、野沢菜、シロナ、菜の花などが仲間の種類になります。
まとめ
水菜の育て方は、乾燥に注意して水持ちの良い土壌が大切です。
ご家庭のプランターなどでも簡単に育てることができるので、手軽に栽培を楽しみましょう。
MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。