家庭菜園をこれから始める初心者の方〜中級者の方へ、地植え・庭先やベランダでのプランター栽培におけるモロヘイヤの育て方の手順を、写真とイラストでわかりやすく解説します。
モロヘイヤ栽培の特徴、種まきから収穫までの栽培時期と手順、水やり、摘芯の方法、上手に育てるコツ、品種、病害虫への対策などをご説明していきます。
モロヘイヤとは
エジプトや中近東、アフリカなどでは古くから栽培されていたモロヘイヤ。
アラビア語で「王様の野菜」という意味で、粘り気のある葉には、ビタミンやミネラルを豊富に含む、非常に栄養価の高い健康にも良い野菜です。
栽培には暖かい気候が向いていますが、寒さには弱く、気温が10度以下に下がると、生育が止まってしまう為、春から夏にかけての栽培に適しています。
モロヘイヤの栽培時期カレンダー
モロヘイヤの種まきから収穫までの栽培時期・栽培スケジュールは以下のようになります。
モロヘイヤ栽培に適した環境
気温が高く、日当たりが良く、湿度の高い土壌を好みます。
逆に寒さに弱く、気温が下がると成長が止まり、日が短い季節になるととう立ち(花が咲く)して品質の低下につながります。
生育適温 | 20〜25℃前後 |
種まき〜収穫まで | 75〜90日程度 |
モロヘイヤの栽培/育て方手順
モロヘイヤに適した土づくり
必要に応じて、植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて土の酸度を調整し、よく耕しておきます。(目安:100g※3つかみ程度/㎡)
参考pH値 | 5.8-6.2 |
② 元肥を施す
種まき1週間前に堆肥2〜3kg/㎡、化成肥料100g/㎡を施して良く耕します。
・堆肥については、以下の記事で詳しく説明しています。
堆肥とは何?堆肥の作り方(落ち葉・生ゴミ・牛ふん)
・肥料ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
肥料の三要素・種類と効果。ぼかし肥の作り方
③畝作り
土を盛り上げて幅60cm、高さ10cmほどの畝を作り、マルチングをしておきます。
モロヘイヤの種まき
①種まき
ポリポット、もしくはセルトレーなどに培養土を入れて、1ポリポットに5〜6粒づつ、セルトレーには中心に1粒の種をまいていきます。
土を薄くかぶせて軽く土を抑えて土と種を密着させて、水をやります。
・種のまき方については、以下の記事で詳しく説明しています。
種まきの種類と方法。すじまき・点まき・ばらまき・ポットまき
・苗の育て方と選び方については、以下の記事で詳しく説明しています。
野菜の苗・種の育て方と選び方(接ぎ木/ポット苗)
②植え付け
モロヘイヤが発芽したら、本葉が3〜4枚程度になった頃に、ポットから畑に植えつけます。
マルチした穴に植え穴を掘って、丁寧に苗を植え付けます。
株元に土をかぶせて、株が倒れないように安定させたら、水をたっぷりやりましょう。
梅雨明けはハダニが発生しますので、通気性をよくしておきましょう。
・苗の植え付けについては、以下の記事で詳しく説明しています。
野菜の苗木の植え付け方法(定植)
モロヘイヤの水やり
モロヘイヤは比較的育てやすい野菜ですが、乾燥を嫌います。
水不足は、茎葉の成長に影響して収穫を減らしますので、乾燥させないように水やりをします。
マルチをしない場合は、湿度を保つ為に、敷きワラをしておくと、土を乾燥から守り、雑草が生えてくるのを予防することができますので、栽培が楽になります。
追肥・除草
植え付け1ヶ月後から、20日に1度の間隔で追肥を行います。
株元に化成肥料40g/㎡(軽くひと掴み程度)を施してよく混ぜます。
また、周りの雑草もこまめに取り除いておきましょう。
株が成長してくると、風などの影響を受けて倒れてしまうことがありますので、1株毎に株の横に支柱を立てて誘引しておきましょう。
モロヘイヤの摘芯と収穫
草丈の高さが50cm程度になったら収穫のタイミングです。
株の先端か15cm程度のところを摘心します。
摘心とは、新しく伸びていく主軸の茎の先端部を途中から切ることです。
それにより、脇芽の成長を促して、モロヘイヤを多く収穫することができます。
摘心後は、30cm程度わき芽が伸びたら、葉を1〜2枚残して、必要な量を折って収穫します。
黄色い小さな花が咲き始めたら、収穫の終わりの時期です。
開花するとモロヘイヤの品質が落ちるので、開花する前に収穫をしましょう。
モロヘイヤの種に含む有毒性
モロヘイヤの種は有毒物質を含みます。花、サヤは絶対に食べないようにしましょう。また、収穫の際は、細長いサヤや花がないかよく確かめるようにしてください。
モロヘイヤの栽培/育て方(プランターの場合)
プランター栽培での準備
・土
市販の元肥・pH調整済みの野菜用培養土を使用すると楽に栽培ができます。ホームセンターなどで十分な量の土を購入しましょう。
・プランター
深く広めのプランターを用意します。プランターに6割ほど土を入れて準備します。
モロヘイヤのプランターへの種まき
①種まき
ポリポット、もしくはセルトレーなどに培養土を入れて、1ポリポットに5〜6粒づつ、セルトレーには中心に1粒の種をまいていきます。
土を薄くかぶせて軽く土を抑えて土と種を密着させて、水をやります。
②プランターへの植え付け
モロヘイヤが発芽したら、本葉が4〜5枚程度になり暖かくなった頃に、ポットからプランターに植えつけます。
株間15cm程の間隔で、もともとポットなどで土がかぶっていた位置の深さに植え付けます。
株元に土をかぶせて、株が倒れないように安定させたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷり水やりましょう。
モロヘイヤのプランター栽培での水やり
モロヘイヤは比較的育てやすい野菜ですが、乾燥を嫌います。
水不足は、茎葉の成長に影響して収穫を減らしますので、乾燥させないように水やりをします。
摘心
草丈が40cm程度に成長したら、株の先端を摘心します。
摘心とは、新しく伸びていく主軸の茎の先端部を途中から切ることです。
それにより、脇芽の成長を促して、モロヘイヤを多く収穫することができます。
半分ほどの高さに、元気の良いわき芽の上を摘み取ります。
追肥・除草
植え付け1ヶ月後から、20日に1度の間隔で追肥を行います。
株元に化成肥料30g/㎡(軽くひと掴み程度)を施してまし土(一層程度の土を入れる)を行いましょう。肥料入り培養土などでまし土を行う場合は、化成肥料での追肥は不要になります。
モロヘイヤの収穫
モロヘイヤのわき芽が、30〜40cm程度に伸びてきたら収穫時期です。
枝先15〜20cmの節でカットして順次収穫します。
モロヘイヤの種は有毒物質を含みますので、収穫の際は良く確かめて花やサヤは絶対に食べないようにしましょう。
失敗しないモロヘイヤの栽培・育て方のコツ
①モロヘイヤは高温多湿を好みます。
保湿性の良い土壌で育てて、乾燥に注意して育てましょう。
②種を1日水につけてから植えると、発芽が揃う確率が高まります。
③草丈が30〜50cm程になったら、摘心してわき芽の成長を促すことで、長く収穫が楽しめます。
モロヘイヤの栽培・育て方でよくあるトラブル/質問
発芽後になかなか大きく成長しない
モロヘイヤは初期の成長が遅い為、発芽した後に定植期の大きさである本葉が5枚程度まで育つには〜50日ほど期間がかかります。寒く霜が心配される地域ではトンネル栽培などで保温を行います。
草丈がどんどん伸びて困る
暑い夏の時期になるとモロヘイヤは成長が早く、草丈がどんどん高く成長します。
伸ばして栽培することも出来ますが、木のように太く大きくなりますので、3、40cm程度の大きさで摘心を行い、茎の先端部分をカットすることで、やわらかく美味しい葉の収穫を行うことができます。
モロヘイヤは越冬はできるか
モロヘイヤは耐寒性に弱く越冬することはできません。
通常に栽培をしていると秋になるとさやが伸びてきて、翌年に植える種を採ることができます。
さやがかさかさに乾ききったら、さやごと摘み取って種をさやから取り出します。
取り出した種は、紙袋などに入れて冷暗所で保管することで保存が可能です。
モロヘイヤのよくある病気と害虫対策
病気
・黒星病(葉に黒い斑点模様)
対策:病害にあった株は早々に除去。
・灰色かび病(葉や茎の切り口に灰色のカビ)
対策:発症後、殺菌剤を4〜5日おきに散布
害虫対策
・ハダニ(葉の裏への群生により葉の色が抜ける)
対策:時々葉の裏を水で流す。
・病害虫の対策と予防ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
家庭菜園の野菜の病気と害虫対策・予防方法
モロヘイヤの連作における注意
モロヘイヤは連作障害が出ます。
同じ場所での栽培は、1〜2年空けて行います。
まとめ
モロヘイヤの栽培は、水と肥料を切らさないことが育て方のコツになります。
ご家庭のプランターなどでも簡単に育てることができるので、手軽に栽培を楽しみましょう。

MAKI
埼玉県南中部に自らの畑を持ち休日に農業を行う。農薬を一切使用しない無農薬栽培歴は今年で8年。年間20〜30品目の野菜を栽培。